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ネフローゼ症候群Nephrotic syndrome

西洋医学的な”ネフローゼ症候群とは・・・”

腎臓の解剖図

ネフローゼ症候群とは、尿中にタンパク質が多量に出てしまい、血液中のタンパク質が減ってしまう状態を示す症候群です。尿の泡立ちやむくみを主な症状とします。

明らかな原因疾患がない一次性ネフローゼ症候群と、原因疾患がある二次性ネフローゼ症候群に大別されます。

一次性ネフローゼ症候群の中で頻度の高い症状は下記のとおりです。

①微小変化型ネフローゼ症候群(42%)
②膜性腎症(25%)
③びまん性増殖性糸球体腎炎(17%)
④巣状増殖性性糸球体腎炎(12%)
⑤膜性増殖性糸球体腎炎(5%)

これ以外の一次性ネフローゼ症候群の原因疾患には、巣状糸球体硬化症や半月体形成性腎炎などがあります。

二次性ネフローゼ症候群には下記の原因疾患があります。

・代謝疾患(糖尿病性腎症、アミロイドーシス)
・膠原病、血管炎(ループス腎炎、シェーンライン-ヘノッホ紫斑病)
・悪性腫瘍(ホジキン病、多発性骨髄腫、固形がん)
・薬物(金属剤、ペニシラミン、ブシラミン、ヘロイン)
・感染症(HBV、HCV、梅毒、マラリア)
・循環器疾患(収縮性心膜炎、うっ血性心不全)
・過敏症(ハチ毒、ヘビ毒)

ネフローゼ症候群の診断基準は下記のとおりです。

・3.5g/日以上の蛋白尿の持続
・低蛋白血症:血清総蛋白6g/dl以下(血清アルブミン3.5g/dl以下)
※上記の2項目は必須条件
・高コレステロール血症(250㎎/dl以上)
・浮腫

主な症状は、尿の泡立ちと浮腫みがあります。尿中に蛋白質が漏れ出ると、尿の泡立ちがみられるようになります。また、血液中の蛋白質やアルブミンが減少すると、崩れた血管内外のバランスをとるために水分が血管外へと出ていくことと、ネフローゼ症候群になると腎臓から塩分が排出されにくくなるので、体内に塩分・水分が留まり、浮腫みの症状を引き起こすことになります。

ネフローゼ症候群の西洋医学的な治療方法は下記のとおりです。

【ステロイド療法】
多くの一次性ネフローゼ症候群の場合、ステロイド療法を行います。

【免疫抑制剤の併用】
難治性や再発を繰り返す場合などは、ステロイド抵抗性として、一部の環状ポリペプチド抗生物質などの免疫抑制剤を併用します。また、膜性腎症に対しては、初期から免疫抑制剤が併用されることがあります。

【浮腫みの治療】
全身性のむくみがある場合には、利尿薬やアルブミン製剤を使用して、水分の排出を促します。

【食事療法】
高カロリー、食塩制限、蛋白制限などを行った食事療法を行います。

【血栓の予防】
抗凝固薬(ヘパリン、ワルファリン)、抗血小板薬(ジビリダモール)を使用して、血栓の予防を行います。

【その他の治療】
高LDLコレステロール血症に対しては、LDLコレステロール吸着療法を行い、抵抗性の著しい乏尿や体重増加の対しては血液透析を行います。

東洋医学的な”ネフローゼ症候群”とは・・・

さて、東洋医学では、どのように分類するのでしょう。東洋医学では、ネフローゼ症候群を直接表現する証候はありませんが、ネフローゼ症候群の特徴的な症状である浮腫を”水腫”といい、排尿に関する症状を”淋証”といいます。この水腫と淋証が、ネフローゼ症候群を言い表す証候となります。この水腫と淋証には様々な原因がありますが、その中でもネフローゼ症候群に近い証は次の3つのタイプがあります。

①脾虚タイプ
 【原因】
脾は運化機能を司っていて、湿を嫌う特徴があります。飲食不節や過労によって脾を損傷すると脾虚になり水湿が停滞して浮腫が生じます。また、湿気の多いところに住んでいたり、雨に濡れたりして水湿の気が侵襲して脾がその影響を受け水湿を上手く運化できない状態が続くと浮腫が起きます。
【症状】
全身浮腫、膨満感、胃部のつかえ、食欲不振、下痢(水様便)、顔面晄白、尿量減少、四肢倦怠、四肢や体幹の冷え

②腎虚タイプ
【原因】
肝気というのは、体内の気の流れをスムーズにする働きがあります。肝気は、ストレスにとても弱い気で、長い間ストレスを受けて、それが上手く解消できないでいると、肝気の機能が低下して、肝気が滞ってしまいます。また、肝は血を蓄えている臓腑ですので、血が不足することによって肝気の活動が低下して引き起こされる場合もあるのです。
【症状】
全身浮腫(特に下肢)、腰のだるい痛み、腹部の脹満、尿量減少、心悸亢進、気短、喘息、咳嗽、喘鳴、四肢の冷え、精神疲労

③湿熱タイプ
【原因】
辛い物、脂っこい物、甘い物を偏食したり過度の飲酒により体内に湿熱が溜まり、湿熱が下焦を阻塞すると、腎と膀胱の気化機能が影響を受け浮腫や排尿障害が起こります。また、泌尿器の急性や慢性の感染症などで実熱になったり、もともと腎陰虚体質で陰虚火旺状態になったりすることで、尿意逼迫や排尿痛などの排尿障害が起こります。
【症状】
胸苦しい・不眠・動悸・健忘・めまい・耳鳴り・腰がだるい・手足のほてり・喉や口が渇く

ネフローゼ症候群のタイプ別治療方法

【基本治療】
自律神経失調症は、全身の様々な不定愁訴、症状が現れる疾患ですので、その不定愁訴の改善を中心に治療し、全身の調整をしていきます。

基本治療以外は、タイプ別に下記のような治療をしていきます。

脾虚タイプ 【運脾利水法】
気の流れを良くする治療が中心になります。胃に脹痛がある場合には、胃に関係する経穴を加える、精神的なイライラがある場合には肝気の流れを良くする経穴を加えるなどの、加減をします。それぞれの経穴に鍼と温灸によって刺激を与え、体内の気の流れを良くしていきます。治療部位は、腰と下腹部、下肢の前面になります。
腎虚タイプ 【温腎利水法】
肝気の流れを良くする治療が 中心になります。肝に関係する経穴(ツボ)に鍼と温灸によって刺激を与え、肝気の流れをスムーズにします。?血を伴う場合には、血の巡りを良くする経穴を加え、月経痛などの月経不順を伴う場合には、それらに関係する経穴を加えていきます。治療部位は、腰と、下肢前面、前腕部になります。
湿熱タイプ 【法】
腎気と心気の相互関係が治療が中心になります。腎気に関係する経穴に鍼と温灸によって刺激を与え、体内の気を充実させます。また心気に関係する経穴特に冷え強い部分に対しては、灸を多用して治療していきます。治療部位は、腰と下腹部、下肢の前面になります。。

治療期間と周期

週1回を基本として、8~10回の治療を1クールとして、概ね1クール毎に症状が変化していきますので、体調に合わせて治療期間を設定していきます。

1クール目は最も辛い症状を中心に治療(標治)していきます。余分なものは取り除き、足りないものを即席に補います。辛い症状が改善した以降は、体質改善(本治)を中心に治療を行っていきます。じっくり足りないものを補充し、体をリラックスさせ、体全体の調和を図ります。

治療の周期としては、辛い症状が取れるまでは週1回程度が目安となります。最初の症状が取れたら、次はじっくりモードで隔週1回~月1回となります。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせください。

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